アンテラの魔術通信

精霊魔術とは

精霊魔術とは

魔術にはさまざまな種類があります。そのうちもっとも有名なものが白魔術と黒魔術。それぞれ強力な霊的存在から力を借りうけ目的を果たす術で、白魔術は神や天使、黒魔術は悪魔の力を源泉とします。現代に残る魔術やおまじないの多くは、この白魔術か黒魔術のどちらかです。しかしそのどちらでもない、精霊魔術という術も存在します。これは神や天使、悪魔ではなく、文字通り精霊の力を借りる魔術です。

精霊とは、この自然界の万物に宿っている霊性のことを指します。風には風の精霊が宿っており、土には土の精霊が、水には水の精霊が宿っており、それらはそれぞれ異なる性格や性質を持っています。日本の神道には「八百万の神(やおよろずのかみ)」という概念がありますが、この神道において神と言われる存在は、西洋魔術における精霊と実質的に同義です。日本人が山や森、海、井戸やトイレといった場所にも神様を見出しているのは、立派な精霊信仰なのです。

精霊には善悪の観念がありません。白魔術のように清い心を要求することもなければ、悪魔のように必ず代償を要求するわけでもありません。では彼らはどういう存在なのか。一言でいえば「きまぐれ」です。気分が乗れば願いを叶えてくれますし、気分が乗らなければ無視されます。気分を害した場合はひどい呪いを掛けてくる場合もあります。それはまるで気まぐれな天候の変化のようなものです。例えば雨。天から降る雨は恵みにもなりますが、豪雨と化した場合、災害を引き起こすこともあります。農作物に大豊作をもたらすこともありますし、濁流を作って人を溺死させてしまうこともあります。精霊もそれと同じです。精霊はそういった自然のエネルギーが意思を持つ霊体となったもの。善でも悪でもなく、ただ自然の摂理そのものなのです。

ですから、もし精霊の力を借りたり、契約したりできれば、例え良い願いでなくとも、代償を支払わずとも、願いを叶えることができます。例えば白魔術では効果が期待できない願い、私利私欲の要素が強い金運向上、略奪愛成就といった願望を、悪魔の力を借りることなく叶えるには最適です。また、もし精霊に気に入られれば、その精霊が関係するものに触れることでパワーを得ることができます。例えば火の精霊に気に入られた場合、火気の取り扱いがうまくなり、料理の腕が熟達することもあります。水や木の精霊に気に入られた場合、水辺や森に行くだけで気力が回復するようになるでしょう。精霊はお気に入りのあなたにさまざまなパワーを分け与えてくれます。

ただし、上でも申し上げました通り、精霊はとてもきまぐれな存在。並大抵の人を気に入ることはありませんし、例え一時的に興味を惹くことに成功したとしても、そう何度も願いを聞いてくれるものではありません。

魔女は、そんなきまぐれな精霊を使役するプロフェッショナルであると言えます。魔女と言うと怪しげな儀式で悪魔を呼び出したりするイメージが強いと思われます。それも決して間違いではなく、そういった魔術も実際にあるのですが、本来、魔女というものは精霊の力を行使するヨーロッパ土着の巫女がベースとなっています。ヨーロッパ全土にキリスト教が伝来する以前、各地には土着の神々が根付いていました。この神々とは日本の神道における「八百万の神」と極めてよく似た概念であり、これが現在「精霊」と言われる存在です。そして、その神々と交信し、意思を仰ぎ、時に力を借りて人に利益をもたらす巫女や祈祷師こそが、魔女のベースとなる存在なのです。

もし、古代魔術に通じる魔女によって作られた、精霊の息吹がこめられしアイテムを身につけることができれば、どのような人でも精霊の恩恵を受けることが可能となります。他の魔術では成就が難しい願いも、精霊たちの加護と支援を受ければ必ずや叶えられるでしょう。

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