続・呪詛のトラブル
今回も引き続き、呪詛にまつわるトラブルについて書かせていただきます。
かの有名なブラヴァッキー女史が興した、西洋オカルティズムの一大運動である神智学の教典によれば、霊幽界の下位領域にはエレメンタリィ(幽鬼)と呼ばれる邪悪な存在が多数生息しており、アストラルプロジェクション(星幽体投射)や幽体離脱によってこの領域に踏み込んだ者に著しい害を為すことがある、とされています。
このエレメンタリィとは、悪魔や死霊のことだと解釈するオカルティストも多いようですが、アンテラ・サチェロによれば「エレメンタリィとはすなわち生ける者がアストラル次元に放った残留思念であり、俗に言う生き霊の残骸破片が一時的に賦活した物である」とのことで、独立した自我意識を有する邪悪な精霊の類とは全くの別物であると断言しています。
呪詛返しを引き起こす要因について
先の項で呪詛にまつわるトラブルの最たるものは呪詛返しという現象である、ということを書きましたが、エレメンタリィはそのメカニズムにおいて主体的な役割を果たします。つまり呪詛返しを引き起こす要因であり、その本体なのです。
以下、実例に拠ってご説明いたします。
1970~80年代に日本を席巻したオカルトブームの際、西洋魔術についても専門的な翻訳解説書が出版され始めて人口に膾炙するとともに、日本独自の魔術結社まで作られたことがありました。その大半は自然消滅、あるいは活動停止状態となって現在に至っているのですが、この頃に黄金の夜明け団の伝統を継いで主に召喚魔術を探求した某一派があり、その後、その団体はカルト化して近年まで存続していました。しかし今世紀に入って間もなく、団長を含む数名の幹部が謎の死を遂げてあえなく潰えたのです。
当時の関係者が事情を語ったところによると、彼らは活動資金を集めるために呪いの代行や魔術呪具の販売をビジネス展開しようと目論んだのですが、かつてD・フォンチューンがその著書にて解説したような有効性のある霊的自己防衛を怠ったために、呪詛返しの現象をまともに身に受ける形となったそうです。実はその関係者自身も九死に一生を得たそうで、彼の場合は夢に死神のような黒い影が毎晩現れては、ほぼ同時に身体のあちこちに不調が生じたと言っていました。
この黒い影こそがエレメンタリィなのです。呪詛行為によって生じた強烈な意念は、それが呪う相手に上手く届かないと、霊幽界の最下層次元で澱のように滞留します。そこには呪う側の意識の残滓が注入されているため、やがて肉体を持たない疑似人間のような形態が作り出されます。同時にそれらは呪詛行為を実践した者の意識ともつながっているため、一種の帰巣本能、つまり子供が親の元へ帰るような本能的挙動により呪詛者のアストラルボディを侵食するのです。
人間は就寝中のノンレム催眠時において、大なり小なりアストラルトリップを経験しています。その際には顕在意識の中核であるアストラルボディが霊幽界と重なっているため、エレメンタリィからの霊的攻撃をまともに受けることとなります。それによって幽体および霊体部分が毀損され、健康を害したり、精神に異常を来たしたりする、というわけです。
エレメンタリィの危険なメカニズムを回避するために
エレメンタリィの危険性については、西洋魔術だけではなく、我が国の陰陽道や密教秘儀においても同様に警告しています。邪気、穢れ、禍津神、あるいは餓鬼などと呼ばれるものもエレメンタリィと同じ波動を有する存在です。こうした存在から身を守るには、高位の神的波動でバリアを張る他に術はないのですが、よほどの術者でない限り防ぎ切るのは非常に難しく、そうした意味からも呪詛行為は決して行うべきではないのです。
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