忘れられない初めてのキス…。このペンダントのパワーで貴族の末裔と結婚しました!
私が恋していた文学部のS准教授は若手ながらとても優秀な方で、旧華族の家に生まれたブルーブラッドの純血種ですが、とくに家柄を誇ることもなく、性格は至って温厚で、おまけに顔は俳優ばりの超ハンサムです。当然、女子学生たちからの人気も高く、彼の授業は常に教室が満員状態で、とにかく学内で女の子達の行列を見たらその先には必ずS准教授の姿がある、という感じでした。
こんなにランクの高い男性を好きになってしまったのですから、我ながら身の程知らずというか…(苦笑)。図々しいことは百も承知でしたが、どうしても胸の想いを断ち切ることができず、アンテラ様の「マジカルハートペンダント」に助けを求めたところ、ほどなくして魔術の効果が現れました。つまりアンテラ様の魔法によって、私と彼が二人きりになれるタイムポケットが作り上げられたのです。
具体的に書きます。ある日、学生課の用事でS准教授の研究室に入ると、椅子の横に倒れている彼の姿を発見しました。真相は後で知ったのですが、書棚の最上段から研究書を取り出そうとして足を滑らせ、机に頭をぶつけて軽い脳しんとうを起こしていたそうです。でも、そのときはそんなことなど分かりませんから、これは心臓発作でも起こしたのに違いないと早とちりし、とっさの行動に移っていました。
今考えても顔から火が出るほどなのですが、私、何と彼の身体にまたがって、心臓マッサージと人工呼吸を始めてしまったのです。学生時代の一時期ライフガードとして活動していた経験があり、ついその頃の癖が出てしまったようです…。准教授が目を覚ましたのは、まさに唇を重ねている最中でした。後のいきさつは恥ずかしすぎてもうここには書けません。
ただ、払い除けられるかと思ったら、逆に抱き締められて…。恋が成就するチャンスというのは、じつはどこにでも転がっていて、単に私たちが気づかないだけなのかもしれませんね。人一倍奥手で恋愛に縁のない私のような地味女を、そうした隠れたチャンスへ導いてくれたのが、まさにこの魔術ペンダントでした。
来春、S准教授と結婚する予定です。ただその頃にはもう彼は教授に昇格しているはずなので、私は教授夫人ということになりますが…。挙式で着るウエディングドレスの胸の下には、誰にも見えないようにしてこの「マジカルハートペンダント」をそっと飾るつもりです。アンテラ様とACワールドさんへの、心からの感謝とともに…。
(野村みやび・28歳・大学職員・京都)